8回。
養成所試験を受けた回数だ。22歳までに合格できなければ諦める——そう自分に期限を設けて、アルバイトをしながら挑戦し続けた。落ちても、また受けた。落ちても、また受けた。
母の背中を追いかけて飛び込んだ世界で、登みひ果は8度目にようやくドアを開けた。
【スタートから捲り一閃】×【8回目の覚悟】=【ダッシュ域のやんちゃ娘】
登みひ果を一言で表すなら「やんちゃ娘」だ。
母は元ボートレーサーの登みつよ(2017年引退)。二世レーサーとして生まれながら、そのレーススタイルはお行儀よくない。インに収まって差しを待つより、ダッシュから自分でレースを壊しにいく。
最大の特徴はスロー域よりもダッシュ域でスタートタイミングが早くなる点だ。外に構えたとき、エンジンが入る。4・5コースからスリット先行した際は、迷わず絞って「まくり」を狙う度胸を持っている。
イン戦の信頼度は発展途上だが、ダッシュ戦における自力攻勢には目を見張るものがある。伸び型のモーターを手にし、ダッシュ位置に構えた際は、自ら展開を作るキーマンとして評価している。
本人も師匠・和田拓也のスタイルを明確に意識している。
「師匠のようにダッシュから自分でレースを作っていきたい。」
向かっている方向は正しい。あとは精度だ。
自分の課題を言語化できる選手
地元尼崎でのインタビューで、登はこう言った。
「質のいいスタートと、道中の位置取りが悪いことが多いので、レースを走って学ぶしかないと思うんで、もう数を走りたいです。」
優出・優勝という目標を口にしながら、同時に課題を客観的に言語化できる。その冷静さは、周囲の評価とも一致している。先輩女子レーサーから「しっかりしている」「隙が無い」「みんなのことを見れる」と言われる選手が、外では捲り一閃のやんちゃなレースをする。そのギャップが登みひ果の面白さだ。
レースを観るとき、注目したいのはスタートの質と道中の位置取りの2点だ。この2つが噛み合ったとき、外枠の登みひ果は恐ろしい。
8回目の合格——母の背中と自分の意志
母・登みつよは61期のボートレーサーで、2017年に引退後は精神カウンセラーへと転身した。競艇場に連れられて育った娘が「かっこいい」と感じたのは、仕事も私生活も楽しんでいる母の姿だった。
中学・高校の6年間は陸上の長距離に打ち込んだ。粘り強さはそこで育てたのかもしれない。
ボートレーサーを目指すと決めてから、養成所試験は何度落ちても受け続けた。アルバイトで生活を繋ぎながら、22歳の期限を胸に据えて。8回目にようやく合格通知が来た。
2022年11月24日、尼崎でデビュー。初勝利は2023年7月10日、桐生のヴィーナスシリーズ。6コースからのまくりで決めた。デビューから8か月——やっぱり外から仕留めた。
師匠・和田拓也との出会いが変えた
3期目から和田拓也(A1・兵庫)に師事して以降、成績は上向いた。「レース内容・スタート・整備・プロペラ・考え方、競艇に関することは全て教えてもらった」と登は言う。
師匠との約束は「ケガをしない、させない、笑顔で帰る」。やんちゃなレースをしながら、その根底には安全への意識がある。
2026年2月24日には鳴門G1スピードクイーンメモリアルでG1初出走。同年6月には戸田ヴィーナスシリーズでデビュー初優出(5着)。階段を一段ずつ、着実に登っている。
プロフィール
| 登録番号 | 5264 |
|---|---|
| 登録期 | 131期 |
| 支部 | 兵庫 |
| 出身地 | 兵庫県 |
| 生年月日 | 1999年10月9日 |
| 身長 / 体重 | 150cm / 46kg |
| 師匠 | 和田拓也(113期・兵庫) |
| 得意コース | 4・5コース(ダッシュ域) |
| 1マーク選択傾向 | 捲り・絞り・捲り差し |
| 進入狙いコース | 4・5・6コース |
主な戦歴
| 2022年11月 | 尼崎でデビュー |
|---|---|
| 2023年7月 | 桐生ヴィーナスシリーズで初勝利(6コースまくり) |
| 2023年 | 和田拓也に師事、以降成績上昇 |
| 2024年前期 | B2→B1昇格 |
| 2025年 | 兵庫支部フレッシュルーキー選出 |
| 2026年2月 | 鳴門G1スピードクイーンメモリアルでG1初出走 |
| 2026年6月 | 戸田ヴィーナスシリーズでデビュー初優出(5着) |
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