1、基本情報
イン逃げの安定感と、握り込む度胸——寺田空詩という覚醒
- 登録番号 5231
- 氏名(読み) 寺田 空詩(てらだ・くう)
- 生年月日 2003年10月11日(22歳)てんびん座
- 出身地 山口県
- 支部 山口
- 登録期 129期
- 級別 A2級(2026年前期/初昇格)※2026年後期はB1級
- 身長 / 体重 153cm / 46kg
- 血液型 O型
- 師匠 特定の師匠なし(その節にいる先輩、他支部の先輩から広く学ぶスタイル)
2026年5月23日、徳山。
寺田空詩は「日刊スポーツ杯争奪徳山オールレディース」で、自身初めての優勝戦の舞台に立ちました。4号艇、4コースから4着。優勝はできませんでした。
でも、この一戦がシーズンの分水嶺だったと、ジキルは見ています。
反対された背中、追いかけた理由
高校1年生の頃、徳山で父の操縦するペアボートに乗ったことがきっかけでした。ちょうど129期の応募締切直前というタイミング。「カッコいい」と思い、応募を決めました。
当初、父親には反対されていたといいます。それでも自ら試験を受け、合格後は父と一緒に走り込みなどのトレーニングに励みました。
養成所に入った頃はまだ若く、家が恋しくなることもあったそうです。厳しい環境に戸惑う場面も多かった。でも、そのたびに同期や実技教官に助けられ、支えられてきました。
寺田家、偉大な父と追いかける姉妹
父は、SG2勝・G1 7勝を誇る寺田祥選手。姉の寺田夢生選手も136期のボートレーサーです。
寺田自身は、レーサーになる前は父のレースをほとんど見たことがなかったといいます。レーサーになってから、尊敬する部分が増えました。「仕事とプライベートのオン・オフができるところ」。カメラの前とは違い、家では冗談を言ってふざける一面もある父。姉のレースは、母目線でヒヤヒヤしながら見ているそうです。
師匠は、あえて持ちません。「弟子入りしなくていいんじゃない」と父にも言われているといいます。特定の師匠に固定されない分、柔軟にいろいろな選手から教わることができる——そう考えている選手です。
【イン逃げの信頼】×【ダッシュ絞り】=【サラブレッドの覚醒】
解説(詳細分析): ターン技術には、まだ発展途上な部分が見られます。それでも、スタートを決めてから全速で握り込んでいく積極的なレース運びに、確かなセンスを感じます。
1コース時のイン逃げは、今期に入ってから明らかに安定感を増してきています。崩れる場面が目に見えて減ってきており、若手のイン戦としてはかなりの信頼度と見ています。ダッシュからトップスタートを決めた際の捲りにも、注意を払っておきたいところです。
特に、女子選手だけで争われるレースでは、その安定感がより際立ちます。混合戦よりも足を使える場面が多く、展開に恵まれれば一撃も十分にある。現状はまだ「軸」としての絶対的な信頼というより、1コース時の1着を積極的に狙う使い方が向いている段階ですが、そのポテンシャルは今期で一段引き上がったと見ています。
残りのピース──記念レースでの初勝利へ
課題は、ターン技術の精度です。混合戦では、まだ足踏みする場面が見られます。優出は今のところ、5月の徳山が初めての一度きり。4着という結果に終わりました。
「今のところ『これは!』っていうレースはまだない」と本人も語っています。ただ、それも経験不足の証拠だと捉えており、いつか自然と印象に残るレースができるようになりたいと前を向いています。
中国地区選手権を前にしたトーク番組では、「初めての記念レースなので、まずは水神祭を挙げられるように頑張る」と意気込みを語っていました。A級昇格という目標の先に、優出、そして初優勝という景色が、少しずつ現実味を帯びてきています。
クリーンな絞り、まだ覚醒の途中
同期の清水愛海選手は、寺田を「犬のように人懐っこく、気を使わずに話せる」「チケット手配などを率先してやってくれる」と評しています。度胸のあるレースぶりとは裏腹に、素顔は世話焼きで人懐っこい。
まだすべてが完成しているわけではありません。それでも、今期の変化は「たまたま」の一言で片付けていいものではないと、ジキルは見ています。
SGレーサーの父の背中を追いながら、自分だけの武器を少しずつ掴みつつある129期。その覚醒を、静かに見守っています。
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