1、基本情報
懐に飛び込む技術と度胸――大久保佑香という原石
- 登録番号 5194
- 氏名(読み) 大久保 佑香(おおくぼ・ゆうか)
- 生年月日 2001年9月2日(24歳)おとめ座
- 出身地 埼玉県熊谷市
- 支部 埼玉
- 登録期 128期
- 級別 B1級(2026年前期現在)
- 身長 / 体重 152cm / 44kg
- 血液型 O型
- 師匠 特定の師匠なし(埼玉支部の先輩から広く学ぶスタイル)
2021年8月15日、桐生1R。
デビューから31走目、大久保佑香は初めて1着でゴールしました。決まり手は、まくり差しでした。
偶然ではない、とジキルは思っています。
ツケマイが主流の時代に
若手選手の成長曲線が変わってきました。ツケマイの精度が上がり、ウィリーマシンの習得に挑む選手が増え、外から一気に被せる力強さで番組を荒らす場面が目立つようになっています。
握って外を回る。相手の艇より外に出て、自分の技術でなんとかする。それがツケマイの本質で、若手が最初に磨くべき武器としては理にかなっています。
ところが大久保は、デビューから懐に飛び込んできました。
相手の内側に入る。艇と艇の僅かな隙間を判断して、そこに突っ込んでいく。外を回るのとは根本的に違います。相手がいる場所に自分から向かっていくのだから、技術だけでなく、瞬間の判断と空間認識がなければ成立しません。「そもそも持っていないとできない」種類の技術だと、ジキルは見ています。
それが、デビューから出ていました。
バトンとサッカーが作った身体
大久保佑香は埼玉県熊谷市出身、128期生、現在24歳です。
小学校6年間はサッカーに熱中しました。男子に混じって。中学・高校の6年間は星野学園でバトントワリングに打ち込み、全国大会に出場するレベルまで達しています。
この経歴は、単なる「スポーツ万能」の話ではありません。
サッカーで培った空間把握と瞬時の判断。バトントワリングで鍛えた体幹と反射。どちらも、狭いコース取りで相手との距離を正確に読む能力に直結しています。懐に飛び込む技術の土台が、ボートレースを始める前にすでに作られていた、と考えると腑に落ちます。
高校3年の夏、父親と訪れた桐生ボートレース場で水面に魅了され、養成所試験を一発合格。その身体能力のまま、レーサーになりました。

2コース差し、3コースまくり差し
大久保の武器を整理すると、シンプルです。
スロー展開における2コース差し、3コースまくり差し。この二つが機能したとき、大久保は確実に舟券に絡んできます。
「ここだ、とわかって割って入っていく感じが自信になる」と本人が語っています。感覚の話ではなく、展開を読んで判断しているということです。まくり差しは、相手が握るタイミングと自分が入るタイミングを合わせなければ成立しません。その精度が、デビュー時から水準を超えていました。
スタートも安定してきました。スロー戦でこの二つの武器が揃えば、着を拾える選手になっています。予想する側からすると、枠と展開さえ嵌まれば信頼できます。
残りのピース
ただ、課題もあります。整備力です。
フライングの多さは本人も認識しており、2025年後期には初のF2を記録しました。復帰後はスタートを慎重に整えながら、それでも自己最高勝率4.68をマークしています。精神的な成熟は数字に出ています。
問題は機力の引き出し方で、これは経験と師匠なしには積み上げにくいと思っています。
現在、大久保に特定の師匠はいません。埼玉支部の先輩たちから幅広く学ぶスタイルや兵庫支部の中谷朋子選手にアドバイスを受けています。それ自体は悪くない。ただ、師弟関係と先輩からのアドバイスは、本質的に異なります。師匠がいれば弟子を優先します。技術だけでなく、整備の考え方、レースへの向き合い方を体系的に受け取れる環境が生まれます。
小芦るり華が宮地元輝を師匠に持ち、急速に力をつけたのは記憶に新しいです。
大久保にも、そのピースが揃う日が来ると思っています。
クリーンなまま、化ける
度胸がないわけではありません。
懐に飛び込む技術を持ちながら、大久保のレーススタイルはクリーンです。
無理に押し込まない。事故を起こさない。
その抑制は、おそらく性格から来ており、今後も変わらないでしょう。
だから瞬間に見せるセンスが光ります。無理をしないから、判断が正確な場面だけ動く。それが差し・捲り差しの精度として出ていると、ジキルは読んでいます。
どこかできっかけを得れば、一気に化ける可能性がある。
その日を、まだ待っています。
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